しゃっくりが止まらない?1時間以上続く場合の原因と今すぐできる対処

生活

しゃっくりとは?基本メカニズム

しゃっくり(医学用語では「吃逆(きつぎゃく)」)は、横隔膜やそれをコントロールする迷走神経の痙攣(けいれん)によって起こります。横隔膜が急に収縮し、声門(のどの入り口)が閉じるために「ヒック」という音が出るのが特徴です。多くの場合は数分以内に自然と治まりますが、まれに1時間以上続いてしまうことがあります。


水を飲んでも止まらないときの対処法

1時間以上しゃっくりが続くと苦痛を感じる方も多いでしょう。次に挙げる方法は、横隔膜や迷走神経への刺激・リセットを狙ったものが中心です。人によって効果は異なりますが、まずは試しやすい方法から始めてみてください。

呼吸法(息を止める・紙袋呼吸など)

  • 息を止める方法
    大きく息を吸ったあと、15~30秒ほど息を止めて肺に二酸化炭素を溜めると、横隔膜のけいれんが抑えられやすくなります。
  • 紙袋呼吸
    口と鼻に紙袋を軽く当て、ゆっくり呼吸して二酸化炭素濃度を上げる方法です。ただし、密閉しすぎに注意し、息苦しくないように行ってください。
  • バルサルバ法
    鼻をつまんで息をこらえ、軽くいきむように力を入れると迷走神経が刺激され、しゃっくりの反射を中断できる場合があります。

耳への刺激(両耳を圧迫)

  • 耳を押す・指を入れる
    両方の人差し指をそれぞれ耳の穴にやや強めに差し込み、30秒~1分ほど静かに圧迫し続けます。外耳道の刺激が迷走神経に作用し、しゃっくりの痙攣を抑える働きが期待されています。

舌を引っ張る

  • 清潔な布で舌をつかむ
    少し痛みを感じる程度の強さで舌を30秒~1分ほど引っ張り続けると、嘔吐反射(ガグ反射)の誘発でしゃっくりが止まることがあります。実際に医療現場でも行われることがある方法です。

味覚刺激(砂糖・酢・レモンなど)

  • 砂糖を舌の奥に乗せる
    スプーン1杯程度の砂糖を口に入れ、ゆっくり溶かしながら飲み込むことで強い甘味が喉の奥を刺激します。研究では、20人中19人のしゃっくりが止まったとの報告例も。
  • 酢やレモンを少量なめる
    酸味による刺激でも迷走神経をリセットできる場合があります。少量ずつ、安全に試しましょう。

冷刺激を与える

  • 冷たい水を一気に飲む
    急激な冷たさが横隔膜や迷走神経を刺激し、しゃっくりを抑える効果が期待できます。
  • 氷を口に含む/首筋を冷やす
    氷を少しずつ溶かしながら飲み込んだり、ビニール袋に入れた氷を首の後ろに当てたりする方法もあります。

注意:「驚かせる」は推奨されません
人を突然驚かせてしゃっくりを止める方法は有名ですが、転倒事故や心臓への負担などリスクがあるため、意図的に驚かす方法は避けましょう


いつ病院に行く?受診の目安と注意すべき症状

長引くしゃっくりは本人にとって大きなストレスですが、以下の場合には早めに医療機関を受診することをおすすめします。

  1. 48時間以上しゃっくりが続くとき
    2日以上続く「持続性しゃっくり」は、他の病気が隠れている可能性があるため、医師によるチェックが必要です。
  2. 神経症状や胸痛などを伴うとき
    激しい頭痛や手足のしびれ、胸の痛み(胸痛)、発熱、嚥下困難などがある場合は重大な疾患が背景にあるかもしれません。速やかに受診してください。
  3. 1週間以上止まらない難治性しゃっくり
    一般に「難治性しゃっくり」は検査や専門的な治療が必要とされ、脳・消化器系を含めた各種検査が行われることがあります。

病院での治療はどうなる?

原因となる疾患の治療

まず、しゃっくりの原因となりうる疾患(胃食道逆流症、脳梗塞、脳腫瘍など)が疑われる場合は、その治療が優先されます。基礎疾患の改善に伴い、しゃっくりが止まるケースも多いです。

薬物療法

  • クロルプロマジン(抗精神病薬)
    日本でしゃっくり治療に保険適用のある薬の一つ。難治性しゃっくりに使用される場合があります。
  • バクロフェン(筋弛緩薬)
    GABA作動薬として筋肉の痙攣を抑える働きがあり、難治性しゃっくりにも処方されることがあります。
  • その他の薬
    胃酸抑制薬、抗てんかん薬など、原因に合わせてさまざまな薬剤が検討されることも。医師の判断のもとで処方されるため、市販薬での対応はほぼ難しいのが実情です。

まとめ

1時間以上続くしゃっくりはつらいものですが、まずは息を止める呼吸法や紙袋呼吸、耳の圧迫、舌を引っ張る、味覚や冷刺激などの手軽な方法を試してみましょう。
それでも止まらなかったり、48時間以上続く場合や神経症状などを伴う場合は、医療機関で詳しい検査を受けるのがおすすめです。早期に原因を特定し、必要に応じて薬物治療が行われれば、長引くしゃっくりから解放される可能性が高まります。


【ライターからのひとこと】

  • しゃっくりを止める民間療法は数多く存在しますが、科学的に厳密なエビデンスがあるものは少ないのが現状です。とはいえ危険性のない方法なら試してみる価値はあります。
  • ただし、体に合わないと感じたらすぐに中断し、症状が続くなら受診を検討してください。

今後も健康に関する情報をお届けしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。ご不明点や気になる症状がある場合は、迷わず医療機関に相談しましょう。

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